京田辺手揉み製茶研修会 

2002年4月2日開催 京田辺市玉露製茶研修工場

京都府茶業連合青年団、京田辺茶業青年団、京田辺茶手揉み技術保存会のご厚意で、
手揉み製茶研修会に参加してきました。
現地に着いてみると、日本茶インストラクター以外の茶の製造に関わる方々が
とてもたくさんいらっしゃったので、驚きました。
午前組と午後組に分かれて作業。 私は午後組なので、午前の作業を見学して予習。

普通煎茶の製造工程は、
1.摘んだ茶葉を蒸す 2.熱を与えながら茶葉を揉む 3.乾燥 となります。
蒸して茶葉の酵素の働きを止め、揉むことで茶葉の水分を均一に効率よく蒸発させます。
最後に乾燥させて貯蔵性を持たせます。この状態のお茶を「荒茶」と言います。
通常店頭で見かけるお茶は、 荒茶から更に火入れをして乾燥させ、
茶葉の大きさを揃える仕上げ加工をしたものです。

これらの作業は元は手作業で行われていました。
その手揉み製造の技法を機械作業に置き換え、現在のお茶の大量生産を可能にさせました。






真ん中にある茶色の台が、焙炉(ほいろ)
テーブルのような面と枠が助炭(じょたん)

  京田辺の手揉み製茶は、
 
蒸し → 茶切り → 横まくり
 → 玉とき  → 中上げ → 葉揃え
 → でんぐり → 板ずり → 乾燥
という行程です。
今回の研修では、
蒸し〜横まくり少々までが済んだ状態から作業を始めています。
茶葉を揉む作業は、
焙炉(ほいろ)にかけた助炭(じょたん)の上で行います。
焙炉の中に熱源(電熱、ガス、炭火)があります。
助炭は木枠に和紙を張ったもの。昔の時代の書き損じの紙らしきものが張られていました。

蒸し
摘んだ生葉を蒸します。一つの焙炉で生葉、約3kg 。

茶切り(露切り)
蒸した葉を、助炭面にすり付くことなく、30cmほどの高さにかき上げ、一面に振り落とします。この作業はかなり大変だそうです。

   
「横まくり(回転揉み)」

横まくり作業前半。まだ葉が大きめ。
先生がすると葉がきれいに転がります。
 


インストラクターチーム、
がんばって転がしています。

「玉とき・中上げ」

茶葉をすべて引き揚げて、別の場所で作業。
  横まくりでは、初めは助炭面全体に転がし、徐々に力を加えて揉んでいきます。うまく力加減をして揉まないと、外の面だけが乾燥が進んで、中があまり乾かなかったり、 葉に含まれるアクが出ずに、 茶の味が悪くなったりします。
この作業が力も必要とし、長時間で大変。
他の茶業関係者チームは早々に終わらせていましたが、インストラクターチームはなかなか終わりません。2時間は揉んでいたかな。

「茶揃え(中揉み・もみきり)」
人差し指と小指に力を入れて揉む。
と、言われてすぐにできるものでもない。
横に広がって、下方向には落ちませんよー。
  玉とき・中上げで、助炭上の茶葉を一度すべて引き揚げて、揉んだ時にできた茶葉の塊をときます。その間、助炭に水を流して布で拭き取り、茶葉から出た緑色のアクを除去。

茶揃えで、中上げで冷ました茶葉を広げ、茶を手の中で揉み、ぱらぱらと下に落とします。

でんぐりで、茶葉をまとめながら助炭の上で揉みます。見た目はパン生地をこねる動作に似ています。隣のチームは、かなり力を入れて揉み込んでいました。

「板ずり」
すべり止め作成風景」
のりを塗って、
   


手ほうきで選り分けた茶葉の粉をひく

「板ずり実作業」

先生がすると、とてもきれいに茶葉の方向が
揃って、細い形に仕上がっていきます。


  板ずり(仕上げ揉み)は、こちらの独特の方法です。静岡の手揉みでは見かけない「板」が登場。茶葉を揃えながら形状を整えていく作業です。板があるので、茶葉に力をかけてもあまりよそへ逃げないので、やりやすいです。先生と同じようにやっているつもりでも、茶葉はどんどん乱れていくばかり。
「乾燥へ」

左上に乗っている網を張った枠に茶葉を移す
  乾燥させるために、乾燥機の引き出しの部分へ茶葉を移します。
ここまで長い道のりでした。一日仕事です。
翌日、特にどこかの体の部位が痛くなるかと思いましたが、それほど痛いところはありませんでした。体全体で動いて揉んでいたからかしら。


さて、お茶の仕上がり具合ですが、他のチームに比べて、茶葉が太めによれています。横まくりで乾燥が進みすぎたのか、でんぐりでは、乾燥しすぎと言われて、あまり細く仕上げられませんでした。
持ち帰って飲んでみると、青みの香りが強い味わい。一般の審査では、青臭いのはダメとされますが、こういうお茶も趣向の一つにあってもいいのでは、と思います。友人にはこの青みの香りが好評でした。


その他諸々

    
京都府茶協同組合の「碾茶入り 宇治茶」
500mlペットボトルのラベル

  昼食はお弁当が出ましたが、その時に一緒に配られたのが、500mlペットボトル「碾茶入り 宇治茶」。ペットボトルのお茶は、今ひとつおいしくないので、ほとんど飲まないのですが、これならおいしく頂ける。茶生産者が作るこだわりがあります。「ひとつ上いく京都・宇治茶」のコピーが付いているぐらいですし。京都府茶協同組合の加盟店にしか置いていないようです。コンビニでも置いてほしいなあ。


「お抹茶入りソフトクリーム・グリーンソフト」
  板ずりのすべり止めの乾燥を待っている時に頂いた「グリーンソフト」。甘みが少なく、あと味さっぱり。ソフトクリームというよりも、シャーベットのような感じでした。アイス系になると、ミルクの味が強いものが多いのですが、これはあまりそんな味はしませんでした。本当にさっぱり、抹茶主体。製造元が書いてないのがあやしい。どこで作っている製品なのだろう。




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